商業デベロッパーの話とか

商業施設とかアパレルとか食物販とか

【商業施設とEC】オムニチャネル化の深刻な闇・・・

【図1】

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こんにちは、去年のMA-1の売り行きは異常だったと思いますが、そもそも、MA-1は、高度上空を飛ぶパイロットにとって はなくてはならない防風、防寒性に優れた、完成度の高いフライトジャケットだったことは知られてませんよね。

今日はアパレルに関するEC市場の台頭と賃料負担率の考え方についてです。

 

■EC市場について

アパレル産業のネットとリアル(実店舗)を含めた全商取引は、13兆9954億円。そのうちECサイトなどの電子取引されているものが、1兆5297億円です。ですからアパレル産業のEC化率は10.93%と言えます。

1兆5297億円(EC取引総額) / 13兆9954億円(全アパレル取引総額)= 10.93%(EC化率)

アパレルのEC化率は対前年比10.5%上昇している他、物販系分野内での構成比率は15.29%で最も高く、アパレル産業は継続的にEC化率が進んでいる分野なんですよ。

 

■アパレル企業のEC化率について

アパレル各社のEC戦略とEC化率

http://digitalbusiness.jp/2017/11/apparel-ec-01/

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ご覧の通り、EC化率は6%~15%=EC売上は200億~400億がボリュームゾーンとなっております。この中でもほとんどの企業がEC売上高ベースでは、10%以上の昨年比UPをしております。

 

■なぜ、ECに注力するのか?

答えは単純で、顧客管理の一環のためです。上記の記事中にもCRMについて、取り組んでいると記載があった企業が多いかと思います。やはり、顧客との接点強化=1日にそのブランドと触れる、考える回数をどう増やすかが、情報洪水時代のテーマとなっており、言わずもがな、店舗だけのプロモーションでは、限界があるためなのです。

ちなみに、某大手アパレルによると、EC・店舗のみ利用する顧客よりも、両方を利用する顧客の方が年間購入額が3倍という結果が出てます。ただ、EC化率が高まれば高まるほど、各社が大変危険な状況になると商業デベの立場として考えています。

 

■それは何で?その前に商業施設での賃料の決め方

唐突ですが、商業施設では、出店時もしくは契約更新のタイミングで、どのように賃料を決めるのかを説明します。

①フロア売上、館売上など鑑みて、テナント側に売上予算を提出してもらいます

⇒それが最低基準売上という扱いとなり、テナント側が館側に担保する売上となります

⇒商業側にとっては、1坪あたりの売上が重要で、重要な指標です

②それに対しての固定賃料を設定する(最低基準売上の18%前後)

⇒売上に対する賃料負担率18%は店舗側の全体収支の中では平均的な数値です

⇒ただ、最低保証売上がクリアできなかった場合、賃料負担率は増大し、単店の収支が悪化します

③最低基準売上を超過した分に対して歩合賃料の設定をする(場合による)

⇒つまり、館で獲得した顧客を自社通販に流して、通販売上が増え、ブランド全体で儲かってても、商業側にとっては、店舗に売上計上されないので、まったくメリットが無いんですよね。

 

例としては下記となります

①40坪の店舗で、売上予算:月1,000万円(坪売上25万円)だとします

②固定賃料は月180万円(坪当たり45,000円)=賃料負担率18%

③歩合賃料は月1,000万円以上~超過した分に対して10%

 

■本題:EC化率が高まると何が悪いのか?

①各店舗の顧客の多くが店舗を介して、獲得しています

⇒接客、内装で表現する世界観、ボディの打ち出しなどがきっかけで店舗を知り、商品を購入し、ブランド感が伝わり、ファンになります

②その顧客に対して、ポイントカードやアプリなどを通じて、自社通販での購入を促します

③店舗に来ても持ち帰るのが面倒なので、通販で購入する人が増えます(ショールーミング化)

④しかし店舗には、売上計上されず、昨年対比での売上はどんどん下がっていきます

⑤さらに店舗側は店舗と通販の事業部が分かれているので、軋轢が生まれます

⑥店舗事業部は単店での収支に追われているので、SCに対して、売上が下がっているのだから家賃を下げろ!と主張します(ブランド全体の売上は上がっているのに・・・)

⑦それに対して、賃料を下げても下げても、店舗の顧客は通販に流れる一方なので「単店単位での売上は下がっていきます」

⇒ブランド全体の売上は良くなっているケースが多いです

⑧結果、通販事業部の声が強くなり、店舗の規模縮小=退店を促すようにあります

⑨店舗が少なくなった結果、新規顧客の開拓が弱くなり、顧客が離反していき、大幅に業績悪化するというパターンが多いです(Ex.T〇Iホールディングスetc)

 

■対策

EC化率20%以上で、かなり危険ラインだと思いますので、商業デベの立場として、それに危機感を持っていない企業との付き合い方は一考すべきかと思います。業績が悪くなる要素が大きいですからね。

 

また、デベ側は賃料負担率に代わるような賃料設定方法を考えるべきだと思います。入店数?会員獲得数?オペレーション的に非現実的だとは思いますが、このままだとテナント側有利な状況が続ていくので、業界全体で検討していきたいですね。。。